欧州委員会は、EU AI法を支える初の調和規格を欧州連合官報に掲載した。EN 18286:2026と呼ばれるこの規格は、高リスクAIシステムの提供者向けに品質マネジメントシステムを定め、同法第17条の要件に対応する。
この規格を導入した提供者は、対象となる第17条の要件について適合性の推定を受けられる。つまり、それらの要件を満たしていることを示す法的な道筋となる。ただし、AI法のすべての義務が規格の対象となるわけではなく、システムが法律全体に適合することを意味するものでもない。
既存のシステムとの関係
CENとCENELECは、提供者の組織全体ではなく、AIシステムのライフサイクルを軸にEN 18286を策定した。欧州委員会によると、この規格はISO/IEC 42001、ISO 9001、分野別規格のISO 13485など、既存のシステムと併用することを想定しており、それらに取って代わるものではない。
規制対象の業界に属する提供者は、別個のシステムを運用せずに、既存のマネジメントシステムへ規格の要件を組み込める。ISO/IEC 42001を導入していない組織も、EN 18286を使って既存の品質システムを拡張したり、第17条に対応するシステムを構築したりできる。欧州委員会は、適合性の推定が認められるAI品質マネジメント規格はこれだけだとしており、今後、調和規格がさらに策定される見通しだ。
今後の予定
欧州委員会によると、この規格は高リスクAIの要件の適用開始に先立って公表された。適用開始日は2027年12月と2028年8月とされている。どの提供者やシステムがそれぞれの日付の対象となるか、発表では説明されていないため、組織は自社のシステムに適用される要件を確認する必要がある。
この規格は、欧州委員会実施決定(EU)2026/2274を通じて公表された。発表には、規格の価格や入手条件についての詳細は記載されていない。
なぜ重要か
EU市場向けの高リスクAIシステムを提供する事業者にとって、EN 18286はAI法の品質管理要件に対応するための公認された方法となり、既存のシステムにも組み込める。ただし、適合性の推定が適用されるのは規格が対象とする要件に限られる。発表では、各提供者にどちらの期限が適用されるのか、また規格の入手条件や価格も明らかにされていない。