Microsoftは、Storm-0940がAIエージェントを使う侵入テスト用フレームワーク「ARTEX」で攻撃を自動化し、世界の数百の組織を標的にしていると発表しました。同社は、10月中旬に明らかになったConnectWiseのクラウドバックアップサービス経由のサプライチェーン攻撃も、Storm-0940によるものと分析しています。
ARTEXはオープンソースのツールで、任意のAIモデルと組み合わせて使えます。Microsoftによると、偵察からデータの持ち出しまでを、人間がほとんど関わらずに進められる設計です。Storm-0940は2021年から活動しており、9月ごろからARTEXを使い始めたとされています。
侵入は数時間で進むことも
Microsoftによると、攻撃者は昼夜を問わず動くAIエージェントで複数の侵入経路を同時に試せます。標的にしてから、組織のクラウド環境で管理者級の権限を得るまで3時間かからなかった事例が複数あったといいます。ただし、攻撃の大半は失敗したとも説明しています。
ConnectWiseの件では、攻撃者がクラウドバックアップ関連アプリの認証情報を盗み、顧客のMicrosoft 365環境でそのアプリに与えられていた権限を悪用したとされます。正規アプリになりすますことで、利用者のサインインなしに環境へアクセスできました。
対象組織は接続記録の確認を
Microsoftは、ConnectWiseの関連アプリをMicrosoft 365で使っている、または以前使っていた組織に対応を呼びかけています。正式な復旧手順が出るまで影響を受けたアプリの接続を無効にし、調査証拠を残すため、最初の対応としてアプリ自体は削除しないよう求めました。10月15日以降、可能なら10月1日以降のサインイン記録や監査ログを確認するよう勧めています。
日本でも、GMOサイバーセキュリティ byイエラエが日本企業を狙う攻撃でARTEXの悪用を確認したと発表しています。ただし、Microsoftはこの日本での攻撃とStorm-0940との関係を示していません。また、侵入の痕跡があっても、必ずデータが閲覧・持ち出されたとは限らないとしています。
なぜ重要か
Microsoft 365でConnectWiseのクラウドバックアップ関連アプリを使っている組織は、アプリの接続を止めたうえで、認証情報や権限の変更を監査ログで確認する必要があります。一方、侵入の痕跡だけでは情報流出の有無は分からず、Microsoftもデータが持ち出されたと一律には述べていません。