OpenAIは、中心となる証明に符号の誤りが見つかったため、数学のプレプリント3本を撤回すると発表した。この誤りにより、安定化トレースの相殺を用いる手順が無効となり、その結果に依拠した後続の論文2本にも影響が及ぶ。撤回された原稿は次の通り。 • 分裂アーベル多様体の8次元の場合におけるヴェイユ類の代数性 • K3曲面に対するKuga–Satake対応の代数性 • K3曲面の積に対する有理ホッジ予想 OpenAIは各論文に告知を掲載し、読者が問題箇所を確認できるよう、アーカイブ版へのリンクを追加した。
ほかに何が更新された?
撤回とあわせて、OpenAIはほかの原稿14本を修正した。修正では、証明の不備への対応、仮定の明確化、引用の訂正を行った。対象となった分野には、リプシッツ高さ、ケーラー極小モデル・プログラム、ハイパーシンプレクティック変形が含まれる。さらに13本の論文を更新し、関連研究の改訂版を引用するようにした。同組織は新たに6件の形式化も追加し、主要な結果のうち形式的に検証されたものの割合は約42%(719件中300件)となった。
なぜ重要か
OpenAIの形式検証の取り組みを追っている数学者にとって、今回の撤回は文献に空白を生じさせ、該当する3つの結果を引用した研究にも影響する可能性がある。読者は誤りがどこで起きたのかを確認し、誤った証明を土台に研究を進めることを避けられる。一方、修正された14本の論文と新たな形式化によって、OpenAIの数学ライブラリーの信頼性は向上する。