Anthropicは米証券取引委員会(SEC)にForm S-1を提出し、株式公開を申請した。ITmediaによると、300ページを超える目論見書には、財務情報のほか、AIが人類の存亡を脅かすリスクや、同社のコード作成にClaudeを使う実態が記されている。
目を引くのは、2026年9月にソースコードへ加えた変更の90%超をClaudeが書いたという記述だ。Anthropicによれば、仕様が明確でなく、人間の経験や判断に頼ってきた難しい開発課題についても、Claudeが解決できる割合は約90%に達した。これは社内ベンチマークの結果で、同社は9カ月で約50ポイント伸びたとしている。
エンジニアの役割も変化
Anthropicは、エンジニアの仕事がコードを一行ずつ書く作業から、Claudeに指示し、出力を確かめる役割へ移ったと説明する。エンジニア1人が1日に書くコード量は、2026年7〜9月の平均で、2024年平均の45倍を超えたという。開発以外の業務運営、営業、研究でも、複数のAIエージェントを使って日々の仕事を自動化しているとしている。
社内利用の拡大は費用にも表れている。Claudeの利用量を一般向け料金で換算した額は、2026年1月から9月の間に250倍超に増加。4月には、株式報酬を除く月々の人件費を上回った。換算額の具体的な金額は示されていない。
株式の販売条件は未定
ITmediaによると、従業員数は2026年9月末に約5300人となり、1年で約2.7倍に増えた。同じ期間に売上高は約13倍に拡大し、従業員1人あたりの過去12カ月の売上高も140万ドルから660万ドル超へ伸びた。既存顧客の売上がどれだけ増えたかを示すNRRは約900%だった。SaaS企業では120%超が優良とされる水準だと同社は説明している。
IPOの具体的な条件はまだ決まっていない。AnthropicはNasdaq Global Select Marketへの上場を予定し、株式の銘柄コードを「ANT」とする意向を示した。一方、販売する株数と価格帯は未定で、SECに提出した登録届出書もまだ効力が発生していない。したがって、今回の申請は株式の販売開始ではない。
なぜ重要か
Anthropicの顧客や投資家候補は、同社の成長だけでなく、Claudeへの社内依存度やAIのリスク評価を目論見書から確認できる。申請は株式の販売開始ではなく、価格や販売株数もまだ公表されていないため、個人投資家が購入条件を判断できる段階ではない。