Crunchbaseのデータによると、世界のスタートアップは10月に590億ドルを調達し、前年同月を45%上回った。増加分の多くを占めたのが、中国のDeepSeekによる159億ドルの調達だ。Crunchbase Newsによると、中国のテック企業による未上場の資金調達案件として過去最大となった。
この調達でDeepSeekの企業価値は900億ドルと評価された。Crunchbaseの評価では、中国企業でByteDanceに次ぐ2位、未上場のフロンティアAI研究所ではAnthropicとOpenAIに次ぐ3位となる。これらは未上場企業の評価額であり、公開市場での株価ではない。
その月の資金調達の大半は、米国と中国に集中した。米国企業は280億ドル、中国企業は206億ドルを調達。中国で月間投資額が200億ドルを超えたのは、Ant GroupがシリーズCで140億ドルを調達した2018年6月以来となる。
一握りの大型調達が大半を占める
7社がそれぞれ10億ドル以上を調達し、10月の合計額の40%強を占めた。対象となった業界は、AI、製造業、エネルギー、半導体、予測市場、支出管理ソフトウェアなど。投資の多くをプライベートエクイティが主導し、Sequoia Capital、Index Ventures、Lux Capitalなどのベンチャーキャピタルも参加した。
マサチューセッツ州の製造企業Re:Buildは21億ドルを調達し、同月2番目の大型案件となった。このほか、エネルギー企業Axiomが20億ドル、支出管理プラットフォームのRampが18億5000万ドル、半導体企業Tenstorrentが15億ドル、予測市場のKalshiが10億ドルを調達した。フロンティア研究所のFlapping Airplanesも10億ドルを調達した。
Crunchbaseによると、10月の世界の資金調達の66%はAI関連企業に流れ、半導体企業の占める割合も高まった。さらに8社が5億ドルを超える資金を調達した。そのうちの1社、TypeSafe AIは、意思決定モデルJevが開発者の間で急速に採用されたことを受け、シリーズAで8億7000万ドルを調達したと発表した。
合計額だけでは見えない実態
見出しとなる合計額が示すのは、スタートアップ全体に均等な伸びがあったということではなく、大型案件が集中した月だったということだ。7件の調達が全体の5分の2超を占めた。Crunchbaseの数字は報道された案件に基づき、2026年11月2日時点のもの。同社は、初期段階の資金調達データは案件の報告が増えるにつれて上方修正されることが多いとしている。
Cohereは目標額を発表していたものの、初回または最終の資金受け入れを報告していなかったため、Crunchbaseは同社が予定する50億ドルの調達を10月の合計額に含めなかった。また、10月にはベンチャーキャピタルの支援を受けた企業が少なくとも9社、10億ドル超で買収されたという。Anthropicが11月にIPOを実施する可能性については、完了した上場ではなく、見通しとして記されている。
なぜ重要か
投資を探すスタートアップにとって、10月の資金調達額は大きく伸びた一方で、資金は集中していた。7社が全体の40%超を占めた。大型資金がどこに流れたかは分かるが、こうした案件以外のスタートアップも資金を得やすくなったことを示すものではない。