Anthropicは米国での株式公開を申請し、クラスA株をNasdaq Global Select Marketにティッカー「ANT」で上場する計画を示した。同社の登録届出書(Form S-1)はまだ発効しておらず、発行株式数と価格帯も決まっていない。届出書が発効するまでは株式を販売できないと、Anthropicは説明している。
届出書からは、同社の急成長の規模と、それに伴うコストがうかがえる。Anthropicの2026年6月30日までの6カ月間の売上高は162億9,000万ドルで、前年同期の11億6,000万ドルから増加した。CNBCによると、同社はこの6カ月間に807億ドルの純損失も計上した。2025年上期の損失は129億ドルだった。2025年通期の損失は約419億ドルに上った。
成長を支える巨額のコンピューティング費用
Anthropicの事業拡大を後押ししているのは、AIコーディングツールのClaude Codeや、法人顧客からの需要だ。一方、サービスの運用には大規模なコンピューティング能力が必要となる。CNBCによると、Anthropicは2029年までにSpaceXから最大1,205億ドル相当のコンピューティング能力を購入する契約を結んだ。約束された容量がすべて提供された場合、Nvidia製チップを使ったコンピューティング能力の利用料として、月額約31億ドルを支払う見込みだ。
届出書は、クラウド事業者との複雑な関係にも触れている。Microsoft、Amazon、GoogleはClaudeへのアクセスを販売する一方、競合するAIモデルも開発している。Anthropicはコンピューティング能力の確保を大手クラウド企業や半導体企業に依存しており、こうした関係には依存性や潜在的な脆弱性があると同社は説明する。また、2026年9月30日までの9カ月間では、売上高に占める割合が10%を超える顧客はおらず、上位5社の合計は約4分の1だったと報告した。
投資家にはまだ公開価格が示されず
届出書によると、創業者らはFounder LLCを通じて大きな議決権を維持する。Founder LLCは発行済み株式の議決権の50.1%を保有する見通しだ。同社は資本・ガバナンス構造について「直接比較できる上場企業の前例はない」と説明し、株主が取締役や経営陣を交代させにくくなる可能性があるとしている。
届出書では、Goldman SachsとMorgan Stanleyが主幹事引受会社として挙げられている。Anthropicは調達資金を、コンピューティング関連の設備投資、人員採用、運営費など一般的な企業目的に充てる可能性があるほか、企業への投資や買収に使うこともあり得るとしている。現時点で大規模な買収や投資の契約はないという。
なぜ重要か
株式の購入を検討する人にとって、届出書には財務状況や支出の規模が示されている一方、公開価格と発行株式数はまだ記載されておらず、IPOの購入コストは判断できない。報告された損失と巨額のコンピューティング契約は、Anthropicの支出規模を示す。ただし、届出書からは、同社がいつ、あるいは黒字化するかどうかは分からない。